熊本県宇城市は平成17年三角町・不知火町・松橋町・小川町・豊野町の5町が合併した、熊本県の中央に位置する都市です。九州の大動脈国道3号が走り西は天草、東は宮崎県を結ぶ交通の要衝です。地勢も北に有明海、南に八代海に接する宇土半島と九州山地に連なる中山間部と平野部の広がる自然環境と都市機能を併せ持つ都市です。
面積は188.6㎢で東西約31.2㎢と東西に長く伸びた地形となっております。令和4年10月現在の人口は57,639人・25,097世帯が暮らしています。個性輝く5つの地域からなり、合併後に、宇城市内の小中学校を中学校区ごとのブロックに分けて、学校施設の立地条件や地域の特性に合わせて小中一貫教育を推進しています。視察した「豊野小中学校」は5ブロックで唯一の施設一体型校であり、今後の葉山町の小中一貫教育の在り方について、大変参考となるお話を伺いました。
施設一体型の最大の長所は、小学校・中学校の先生がこれまでの垣根を越えて、一緒の職員室で働くことによって、お互いの苦労や仕事内容の理解が深まり、常に小中学校それぞれの授業カリキュラムを担当する先生が、毎日密な打ち合わせができることです。また施設一体型により主に中学校の先生が小学校の教科指導に移動する際の時間が、施設分離型とは大きく縮減できる点も挙げられました。
宇城市の義務教育9年間の流れは、小1から小4までを第1期として学級担任制を、小5から中1までを第2期として一部教科担任制を(中1は除く)、中2から中3を第3期として教科担任制を(中1含む)取っており、9年間でホップ(基礎基本形成期)・ステップ(充実・接続期)・ジャンプ(発展期)として4-3-2制を基本として市内全域の義務教育を充実させております。
課題として挙げられたのが、授業時間の違いからチャイムが2種類になる、入学式は一緒に行うが中学校の卒業式では、小学生が静かに過ごすなど、学習指導要領のねらいが異なる中での学校行事のあり方や、小学校6年生の活躍の場が作れない点などに苦心されているとのことでした。また義務教育学校にしなかった理由について質問すると、管理職の人数が減ることとなり、様々な教育課題に向き合うため、学校長・副校長・小中教頭の4名体制が維持できるとのことでした。小中一貫教育の進め方にも幾通りの手法があり、葉山町に最も適合する小中一貫教育が確立されることを望みます。
設立の経緯としては、合併当初小学校13校、中学校5校があり、市内全域の中学校5校に小中一貫教育導入のモデル校として豊野小中一貫校ができました。
豊野小学校は昭和36年建設と老朽化が著しく、平成18年度の耐震化優先度調査で、優先ランキング1位と改築を検討する結果が出されました。また、平成20年度の耐震診断でも耐震性能が不足とした判断から校舎改築を決定。豊野町は、豊野小学校を中心に保育園、学童保育所、中学校、老人福祉センタ-、公民館、養護老人ホ-ム、市体育館、グランドが半径50mから100mの範囲に隣接しており、教育に関する立地条件、町に1小学校1中学校の規模と教育環境から一貫教育導入に適していると判断されました。
教育上の小中一貫教育の背景や目的は、児童生徒の発達の早期化に伴う「中一ギ ャップ」、施設老朽化等、学校現場の課題の多様化、複雑化等の教育課題、この解決に向け施設一体型小中一貫教育校の成果を市内全域に広げ、市内全域での導入を図るとあります。
施設一体型小中一貫教育校として10年目にあたり以下5点の質問をした
2012年から2013年の1年2か月の工事期間で完成した校舎は敷地面積2,740,8.12㎡・改築面積は2,620.08㎡RC構造∔木造・普通教室×12(各クラス2クラス)、2階建ての中学校校舎と体育館の間をつなぐ形で、小学校校舎を新設、中央に新築の220人収容多目的スペース(ランチルーム)があり、ここで会議した。絆や繋がりをコンセプトとしている建築の設計は横浜の設計会社とのこと。土地が広く新築平屋の小学校校舎と既存の2階建て中学校舎でつながる施設。また、人口減少に伴い、児童数の減少もある中、校内通路で区分はあるが、一つの学校として小中学校合同行事や学年の交流活動、地域との交流、さらに小中の職員室の共用から情報交換が日常的に行われ生徒指導にも有効であり、保護者意見も良好であると説明を受けました。
更新日:2023年05月14日