更新日:2025年11月22日
総務建設常任委員会視察報告
総務建設常任委員会は、去る10月27日から28日までの2日間、長野県伊那市、山梨県山梨市を訪問し、次のとおり視察を実施しました。
〇視察日
令和7年10月27日(月)、10月28日(火)
〇視察地及び視察目的
1 長野県伊那市 国道361号線の電柱地中化について
2 山梨県山梨市 狭あい道路整備事業について
〇視察者
荒井直彦委員長、中村和雄副委員長、星加代子委員、石岡実成委員、
金崎ひさ委員、笠原俊一委員、近藤昇一委員
土佐洋子議長(オブザーバー)、随行:行谷友良事務局長
◇委員所感
<荒井委員長>
〔伊那市〕
(視察の質問)国道361号線の無電柱化について
*事業着手から完成までの経緯→別紙参照
*事業に関わる経費内訳→詳細の資料がなく、未確認
*地域住民の協力体制→2名位の中心人物がいた
*計画と条例→別紙参照
*工事の施工方法等の項目について伺った。→夜間工事はしていない
(内容)山崎大行氏(元建設部長)から説明を受け、その中で頂いた資料「う
るおいと誇りある郷土」に詳細が記載
おもな経過は、初めて昭和60年に9月に無電柱化推進委員会が勉強会を
開始した。その後、推進委員会は、定期的に推進委員会は開催していたが、
結論が出ないままで平成24年2月を持って、凍結していた。その後15年後
の平成26年9月に国土交通省・長野県と合同で無電柱化推進検討会議」が立
ち上がり、取り組みの議論が開始され、現在に至る。
*なぜ、15年後に開始した理由は、過去にコンデンサーの置き場所の諸問題
があった技術革新により、商品が小さくなり、その土地の確保のハードル
が低くなったこと。
*国道361号線の無電柱化の話が過去に先行して進すすんでいた為
以上です。
頂いている資料
*伊那路7号 2023年7月(798)
*うるおいと誇りにある郷土
葉山町に置き換えると、葉山町も早急に防災や景観の関してからも計画並びに推進すべきであると思う。
〔山梨市〕
(視察の質問)
*事業着手から10年経過しているが、事業実施により明らかになった課題
について
*事業実施以前から現在まで至るまでの拡幅状況について
*事業実施しに関する職員体制並びに関わり方について伺いました。
狭あい道路整備事業について
一連の説明を伺う限り、今後、葉山町も早急に対策・条例化するべきであると思っています。
「狭あい道路拡張整備事業」のおもな質疑内容
1 概要に関しては 年間で新築申請の総数が平均130件あり、その中で年間
で4件での事業
2 累計拡幅延長1,198m、59件(詳細別紙)
3 年間の予算480万円(社会資本整備交付金 補助率50%)
4 平成24年度から施行した理由は、市長の意向とではなく、単純に国からの
補助事業なので当時の担当者が進めたと認識している
5 過去の実績で買い取りした事例は、今までに一度もない。
6 毎年の当初予算は480万で計上している。
予算をなくなった場合は、補正対応するのではなく年度を変更する。(補正
予算は組まない)
7 民地との境界が定まっていない案件の場合は、定めてから、実施する。
8 道路の格差がある場合は、市では行わない。
9 建築法違反状態の補助金の異論はなかった。
以上です。
追伸:山梨市は、ふるさと納税の取り扱い山梨県ランキングで2位(67億円)
*余談先方の議長からは、葉山町と同じ項目 人口、世帯数、つつじ、松と紹介がありました。
<中村副委員長>
〔伊那市〕
―国道361号線の電柱地中化について―
高遠は、要害の地として戦国時代から高遠城が築かれ、以来伊那地方の政治、文化、経済、交通の中心として栄え、戦前まで上伊那地方の経済の中心であった。無電柱化された国道361号線沿線は、無電柱化の効果もあって城下町の面影を残した景観の良い街並みとなっている。
この無電柱化実現の背景には「高遠の城下町にふさわしいまちなみを造りましょう」との合い言葉で1981年に発足した都市計画推進委員会を中心に、所有地の提供・家並みの後退という20年に及ぶ大変なまちづくりをやり遂げた市民の取組みがあった。これがあったからこそ、国・県の無電柱化事業の対象となった理解したい。
無電柱化は、電力会社やNTT等の関係機関と、何よりも関係住民の理解が必要な事業である。防災面での重要性・必要性は認めるが、今後の人口減少と経済・財政の縮小を考えると、負担の大きい困難な事業といわざるを得ない。可能性があるとしたら、町民の協力的かつ具体的な動きが大前提であろう。
高遠町の場合、守りたいとする歴史的な景観が現存し、かつ、町民が主体となった強力な力があったからこそ実現できた。無電柱化延いてはまちづくりには「町民の願い・意思と力」がポイントであることを改めて認識する機会となった。
〔山梨市〕
―狭あい道路整備事業について―
本事業を、山梨市は平成24(2012)年度から実施しており、本年度までの14年間に拡幅した件数は59件、延長距離は1,198mである。
「山梨市狭あい道路拡幅整備に関する要綱」の第3条で「建築主等の理解協力が得られるよう啓発に努め、指導その他必要な措置を講じなければならない」と市長の責務を定め、第4条で「狭あい道路の拡幅整備の必要性を理解し、対象用地を一般の通行のように供するように努めなければならない」と建築主及び狭あい道路に接する土地所有者の責務を定めている。対象用地は建築主の無償寄附を原則としており、かつ、市は地区・路線を指定して計画的に事業を進める手法を採っているわけではなく、毎年新築が120~130件ある中で拡幅件数は4件程度にとどまっている。
財源は、国の社会資本整備総合交付金(防災・安全交付金)の『狭あい道路整備等促進事業』を活用しており、要求に対して実際交付されるのは60%ほどとのことである。また、1件当りの費用は、測量で40~60万円、工事で80~100万円で、年間の実績は480万円程度ということであった。
市民への周知・理解不足、事業費の上昇、事務量の多さ(関係部署との連携や地権者等との対応等)、所有者が市外・県外在住の場合の確認作業等に時間がかかること等が課題となっている。
狭あい道路は防災の点で重要であり、町民の理解・協力を得て早期解消に努めなければならない課題である。本町が実施するにあたっては、町民からの申請を待つだけでなく、町としての整備方針を示し、計画的に進めるべきと考える。特に、防災上懸念のある地区・道路については、消防車等緊急車両が作業するに必要な最低限のスペースが早期に確保できるような方策を講じる必要があると考える。
<星委員>
1.視察の目的
本視察は、長野県伊那市高遠町および山梨市における、歴史的景観を生かしたまちづくりや、生活道路の安全確保のための取り組みを学ぶことを目的として実施しました。電柱の地中化や狭あい道路整備事業など、葉山町の課題解決にも関連する先進事例を把握し、今後の施策検討に生かすことを目的としています。
2.視察内容
〔伊那市〕
長野県伊那市高遠町 国道361号線における電柱地中化の取り組み
高遠町では、国道361号線沿いの電柱地中化に関する取り組みについて説明を受けました。高遠城跡の趣きを生かしながら、安全で美しい景観形成を進めている地域です。
城下町としての特徴である、間口が狭く奥行きが長い建物が連続する町並みや、四つ角が存在しない街路構造について伺い、歴史的なまちの成り立ちと現状維持の工夫を学びました。
かつては現在の車道部分まで軒先が迫っていたのですが、北から南へ一軒ずつ建て替えと同時にセットバックを進めてきたとのことです。また、瓦屋根の使用や建物高さを3階程度までに抑えるなど、住民同士の申し合わせにより景観と安全性を守るまちづくりを行ってきた点が大変印象的でした。
道路拡張に際しては、35~36本の電柱を地下に埋没させ、景観の向上と防災性の強化を図っています。
〔山梨市〕
山梨市 狭あい道路整備事業について
山梨市では、国の補助制度を活用し、身近な生活道路の安全性確保に取り組んでいます。
山梨市では、市民からの自己申告に基づき、建物の建て替えやブロック塀撤去の際に補助申請があった場合のみ補助金を交付する仕組みです。計画的に整備する方式ではないため、改善が進む箇所とそうでない箇所の凹凸が生じるという課題も伺いました。
制度の認知向上のため、市民への広報だけでは不十分であることから、地域の工務店にも積極的に制度説明を行うなど、利用促進に向けた工夫が見られました。土地境界の確認に時間を要することは、どの自治体にも共通する課題です。
3.所見・まとめ
伊那市と山梨市は地域特性や地形が異なるものの、それぞれが工夫を重ねながら、安全で魅力あるまちづくりを進めていました。住民との合意形成を重視し、歴史や景観を守りながら現代的な安全対策を両立させる姿勢が非常に印象的でした。
今回の視察で得た知見を、葉山町の今後のまちづくり、生活道路の改善、景観形成の検討に生かしてまいります。
なお、視察の移動ではバスや電車を乗り継ぎ、特急あずさの車窓から南アルプスの山並みや葡萄畑を眺め、地域の自然の豊かさを感じる貴重な機会となりました。
<石岡委員>
〔伊那市〕
~無電柱化~
■主な改革の取り組みから印象に残ったポイント
①歴史的な背景
「伊那市都市計画マスタープラン」の中で、旧高遠町地区が「歴史・文化・自然の調和を重視する地域」として位置付けられ、以降、伝統的建造物群の修景、無電柱化事業、歩行者空間の整備など、歴史的景観を核とした都市計画が一貫して進められていました。
②景観保全・観光・住民協働の取り組み
(1)歴史的景観の保全と修景支援
高遠町中心部は「高遠町歴史的風致維持向上地区」として、建築物の高さ・外壁色彩・屋根形状などの基準を設け、町並みの統一感を維持しています。老朽化した木造家屋の修繕には、行政による助成制度が活用され、住民自らの修景活動が促進されており、これにより、町全体が「生きた歴史景観」として維持されています。
(2)地域資源の活用と住民主体のまちづくり
高遠町では「高遠まちづくり推進協議会」を中心に、商工会・観光協会・地域住民・行政が協働する体制を構築しています。看板や暖簾のデザイン統一、伝統的木造家屋の保存、空き家を活用したカフェ・宿泊施設の開設など、地域資源を生かした取り組みが多く見られ、また、景観条例に基づき、建築や看板設置には事前協議を義務化しており、「住民が守る景観づくり」が制度として根づいてもいました。
■評価と考察
今回の視察は、「無電柱化によるまちづくり」をメインにお伺いしたはずでしたが、高遠町のそれは、全体の計画の一つのピースでしかなく、「家並の統一」「歩道」「街路灯」「植栽」「無電柱化」「メインの橋」「ポケットパーク」といったそれぞれのピースがしっかりはまって成し得た一大プロジェクトでした。
こうした偉業を成し遂げた背景には、行政主導ではなく、計画地の約500メートルの参道に位置する住民(商人/旦那衆)自らの熱い想いと協力、圧倒的にその計画を押し進める指導者が存在したという事が分かり、納得出来た部分でした。
現実問題として、これを当町に置換えた際、同じような動きが取れるのか、こうした計画を進められそうなエリアがあるのかを模索してみましたが、中々難しい所だというのが大方の見方ですが、とは言え、高遠町のような都市計画は、歴史・文化・自然を守りながら、地域住民の暮らしと観光振興を調和させた「協働型都市計画」としては、最も好例ではないかと感じています。
景観保全を行政主導ではなく住民主体で進めている点、また地域の誇りを基盤にした自立的なまちづくりの姿勢は、今後の葉山町におけるまちづくりにも多くの示唆を与えるものでないかと考えていますし、一つでも真似ることが出来たらと思いました。
〔山梨市〕
~狭隘道路整備事業~
■印象に残ったポイント
①山梨市の「狭隘道路整備事業」は、寄附や後退といった形で土地所有者と協力しながら進める仕組みを制度として明確化しており、行政主導ではなく「住民参加型の道路整備モデル」として高く評価できると感じました。
②単に通行性の改善を目的とするのではなく、避難路・救急車両進入路・消防活動空間としての機能確保を明確に位置づけている点が特徴的です。
③要綱や申請様式をすべて公開しており、土地所有者や建築主にとっても分かりやすい制度設計となっています。これにより、市民の協力を得やすい環境が整っています。
④すべての道路を一度に整備するのではなく、建築・改築などの機会を捉えて後退を進める「機会整備型」の考え方を採用しており、長期的・着実な改善を図る姿勢がうかがえます。
■評価と考察
どの自治体とも、その扱いに苦しんでいる狭隘道路の整備としては、ある意味画期的なアイデアである事には間違い無いとは思いましたが一方で、後退に協力いただける土地所有者の確保や、説明・合意形成には相応の時間と労力が必要であり、山梨市さんもそこが課題だと仰っていました。
個別の整備だけでは全体的な交通改善に時間がかかるため、優先順位づけや広域的な整備戦略が求められます。また、寄附方式であるため、用地の形状や構造物撤去、登記などの手続きに手間と費用を要することが課題ではないか、とも感じました。
葉山町においても、狭あい道路や老朽化道路、また災害時の避難・救助活動に関する課題が指摘されております。今回の視察を通して、山梨市の取り組みを参考にしながら、「協働」「制度化」「段階的整備」をキーワードに、安心・安全で快適な道路環境の整備を進めていくことが重要だと改めて認識したところです。
また、先般町の課題にもなっている、開発地とその道路付のまでの整備、制度なども葉山独自のルールを考えてみるのも必要だと感じました。
<金崎委員>
〔伊那市〕
○国道361号線の電柱地中化について
山梨町長の初めての立候補の際のマニフェストとなっている「電信柱の地中
化」が一向に進まないので、先進地から学びたいと思い、10月27日、長野県伊那市をお訪ねしました。
伊那市には合併により、城下町である高遠町が含まれています。今回は高遠町総合支社を訪れ、当時の担当者である元職員の山崎大行氏からお話を聞くことができました。お手数をお掛けしましたが、リアルなお話が伺えて、とても勉強になりました。ありがとうございました。
高遠町は城下町として栄え、高遠城址公園は弘前公園、吉野山と並ぶ日本3大桜の名所です。季節になると古い街並みが大渋滞となり、住んでいる人々にとっても環境悪化となり、地域の方々から「高遠の城下町にふさわしいまちなみを造りましょう」を合い言葉に、昭和50年に計画が立ち上がりました。当初から、計画の基本目標として①家なみの統一、②歩道、③街路灯、④植栽、⑤無電柱化、⑥高砂橋、⑦ポケットパークの7点が掲げられており、紆余曲折がありましたが、着実に進められており、令和5年に電柱の地中化が完了しました。まずは道路の拡幅については該当商店の方々が順番に一軒一軒セットパックをし、立て替えの際は瓦屋根や軒下の位置の統一など、建築協定を結ぶことなく、申し合わせで進めており、それを守っていこうという、気迫にとんだ協力体制があっとのことです。
電柱の地中化に関しては昭和60年から検討を重ねた結果、金銭面、用地面から、無理との結論に至り、平成4年に断念したそうです。しかし、平成26年に国の「無電柱化推進検討会議」において新たな計画策定に向けた議論が始まり、長年取り組んでいた実績が認められ、平成27年に国道361号伊那市高遠町が新規着手箇所として選定されました。その道のりは恐ろしく長いのですが、現在では見事なまちなみが残されています。この事業は町を良くしたいという住民の協力体制と行政の粘り強い意思がないと、成し得ない事業と実感しました。葉山町行政と担当箇所の住民の皆さまとの協働が不可欠です。防災の面からも何とか電柱の無い町にしたいと、景観を見て、強く思った次第です。
〔山梨市〕
○狭あい道路整備事業について
10月28日、山梨市の狭あい道路整備事業についての視察を行いました。
平成24年から取り組んでおり、建築基準法第42条第2項に基づく「狭あい道路」整備で既存建造物の撤去費用を一部補助することにより、セットパックした土地を寄附していただき市道として整備しています。あくまで自己申告で、寄附することが前提の補助です。財源は「社会資本整備総合交付金(防災・安全交付金)の「狭あい道路整備等促進事業」を活用しています。年間予算は480万円で補助率は50パーセントです。要望が予算を上回ると、次年度に回すなどの工夫をしています。葉山町もこの制度を設立しようと準備をしているので、とても参考になる視察でした。この制度がある山梨市でも、この制度を活用してセットバックをした土地を道路として市に寄附する件数は130件の新築工事の内、4件程度です。やはり、土他については執着が深いのかも知れません。しかし、セットバックした土地に柵をしたりプランターを置いたりして、道路として使えない状況であれば、道路拡幅にはならず、安心・安全に寄与する姿勢を促す必要があると思います。
今回の視察内容はとても難しい課題のみで、すぐに葉山町に反映できるものではないと感じています。しかし、難しいながら、やらなければならない課題ですので、常に念頭に入れ、模索して参ります。
<笠原委員>
〔伊那市〕
国道361号線高遠地区の無電柱化事業について
桜の名所といわれる高遠城址公園に向かう商店街通り、600mを8年越し事業として約7億円かけ整備した経緯。なぜ事業が必要なのか、住民の支援は、長期事業の理由、延伸計画などの質問に対して伊那市教育委員会、市誌編纂室山崎大行氏から説明を受けた。
会場は伊那市役所高遠町総合支所、高遠町は伊那市中心地から北東約9キロ、バスで20分ほど離れた南アルプス山裾に拡がる城下町。伊那市とは全く異なる落ち着いた雰囲気を持つ町でした。高遠駅表札のあるバス停から会場までは、電柱を取り除き電線を地下に埋設して、スッキリとした山並みの風景を見ることができ、武家屋敷風の白壁、黒瓦屋根の商店街が整備された道路と両側のカラー歩道、和風街路灯が緑の山に向かって緩やかな登り道となっていた。
伊那市の沿革として平成18年3月31日、伊那市、高遠町、長谷村が合併。面積667,932㎢(葉山の約40倍)、人口令和7年4月現在64,702人(葉山の約2倍)
高遠町街路整備事業
昭和50年都市計画区域変更加入、51年都市計画研究委員会発足。
56年都市計画推進委員会において、基本計画で城下町にふさわしい街並み造りのための基本目標は1家並みの統一、2歩道、3街路灯、4植栽、5無電柱化、6高砂橋、7ポケットパ-クとした。
無電柱化については地震台風による電柱の倒壊。緊急車両、物資、緊急車両の通行の障害の安全対策。観光地としての景観対策など。また、電線埋設には歩道幅員4.5mの拡幅と全長区間に13基の電気施設(トランス)設置が必要となる。このため民地の提供が必要で80数店の店主が尽力したとのこと。
街路整備については
昭和61年9月250m区間(全区間600m)認可 63年残り350m区間認可
63年12月霜町工区233m完成 平成5年3月仲町・本町工区195m完成
平成7年3月横町工区100m完成 平成8年3月高砂工区172m完成
国道361号線の本通り600m国庫補助委事業、国道152号横町100m区間と高遠駅周辺整備は長野県単独事業として実施された。
街路整備事業は平成8年(1996)に完成したが電線類地下埋設だけが、当時の技術、用地確保、財政問題などから取り残された。平成27年(2015)国の無電柱化推進を受けた長野県推進計画等から再度の推進が図られた。
無電柱化の取り組み 高遠本通りの街路整備事業と同時期の計画でしたが、費用面や用地確保等から平成4年(1992)断念、しかしながら平成29年(2017)再開され令和5年(2023)終了事業として再度開始された。
伊那市教育委員会の山崎氏の説明から当時の詳しい資料既に廃棄されており、当時の詳しい内容は不明だが、地元住民や特に商店主の皆さんの大変なご苦労と協力のおかげで事業が行われたとのことでした。
11月発行伊那市の広報誌による
6年度決算398億6,619万円、自主財源37.8%、依存財源62.2%
また、視察中研修での調査によると、7年度一般会計384億5,200万円、
市税92億3,300万円(24.0%)、地方交付税107億2,600万円、9特別会計150億3,837万円、3企業会計91億7,380万円。
ふるさと納税寄付額、全国2位72億469万3千円(過去の最高実績)
4年度25億3千72万円(葉山町は7,231万円、令和5年度)
感想として地方に対する各支援の多さは羨ましく思いますが、暮らしぶりの向上のための活動努力、こうした知恵と行動が自身を含めて町や議会に足りないのではと感じました。
〔山梨市〕
狭隘道路整備事業について
28日山梨市駅前からまっすぐに整備された道を上り、広い道路と広い歩道を20分ほど歩き、暑い日で汗だくになりながら市役所到着。
向山輝議長より歓迎のあいさつを受ける
7年10月調査の人口32,385人、面積289.80㎢
土地利用面積:森林81.8%、農地・原野7.4%、水面河川・水路1.3%、道
路、宅地その他で14.8%
一次産業従事者3,102人中で農業3,078人、二次産業3,249人中で建設業1,120人、製造業2,127人、三次産業10,482人中では医療福祉系2,375人、卸売業、小売業の2,222人の町。
桃、葡萄などの果実栽培を中心とした農業が主流でワインの生産も盛んな町として有名。
令和7年度一般会計251億9.800万円、市税40億807万円(15.9%)、地方交付税55億円(21.8%)、ふるさと納税(5年度実績)43億7.965万円(葉山町7,231万円)。
狭隘道路整備は日常生活の安全確保や緊急災害時対応に重要な課題としていることは当町同様でした。
当日の資料説明で(事業実施の明らかとなった課題)
〇周知理解不足で整備事業や補助金制度の市民への浸透不足、情報提供が必要
〇事業費の上昇 整備、測量コストの上昇
〇職員体制の課題 関係部署との連携や地権者等の対応事務量が多い
〇整備効果の限界 建築工事に伴い面整備が進みにくい
〇土地境界の確認作業問題 隣接地所有者が市街、県外在住の場合確認作業に
長時間がかかる。以上のような課題が挙げられていました。
社会整備交付金(防災安全交付金)を活用し年間約500万円予算、平成24年度から令和7年度まで14年間で1,198m、59件で(年3件から7件)私有地の提供によるセットバックや擁壁取り壊しなど自己負担の必要性もあり、土地所有者自ら主体的に道路整備に協力していく姿勢を感じました。特に説明の中で3人の土地所有者の両側所有者が了解し、拡幅したいが真ん中の所有者が反対した場合は、全て工事しないかその部分だけ残した工事にするとして、調整努力は住民自ら行うとしたかなり強い姿勢でした。
狭隘道路整備は多くの問題を抱える事業であり、職員の労働環境確保なのか。葉山の現状では行政職員の努力をするべきとして、職員に強く行動を求める議会発言もありますが、山梨市では市民自らが行動しなければ行政は行わないとする姿勢と感じました。
<近藤委員>
〔伊那市〕
長野県伊那市視察報告所感
伊那市高遠町では、国道361号線の一部約600メートル区間において、電線の地中化(無電柱化)を実施している。
本事業は、「城下町にふさわしいまちづくり」を目指し、地域住民が主体的に取り組んできたものである。
住民の間で、・軒先の高さをそろえる・建物の色を白と黒を基調に統一する・立て看板の大きさを制限する・歩道の舗装材を統一するなど、町並み全体の景観形成に関する申し合わせを行い、電柱の地中化とあわせて、調和のとれた町並みの整備を進めてきた。
事業の経緯としては、1992年に一度、無電柱化の構想が立てられたが、費用や制度面の課題から断念したが、2015年に長野県による無電柱化推進計画において、新規着手個所として選定され、以降:道路拡幅事業と連動しながら、無電柱化が実施された。
早い段階から地域で構想を持ち、整備方針を明確にしていたことが、県事業への採択につながったと考えられる。
伊那市高遠町の取組は、行政主導ではなく住民主体でまちづくりを進めてきた点に特色がある。
無電柱化だけでなく、軒先や看板、舗装材に至るまで住民が合意形成を行い、「町全体で景観を守る文化」が形成されていた。
また、無電柱化により、歴史的街並みがより引き立つ。桜の名所としての観光イメージが向上。防災性・安全性の向上(通行空間の確保)。などの効果が確認できた。
高遠町の事例は、無電柱化を単なるインフラ整備ではなく、地域主体の景観まちづくりの一環として進めることの重要性を示している。
初期段階から住民がビジョンを共有し、計画を立案しておくことが、上位計画への採択や事業化を後押しする好例であるといえる。
今後、他地域で無電柱化を検討する際には、住民合意形成の手法。景観統一に関するルールづくり。行政と地域の協働体制。などを重点的に学ぶべき点として参考になるであろう。
〔山梨市〕
狭あい道路整備事業 視察報告所感
山梨市では、2012年度から「狭あい道路整備事業」を実施している。
この事業は、建築基準法第42条第2項に基づく「狭あい道路」の拡幅整備を
推進するもので日常生活の利便性向上とともに、緊急時・災害時における活動空間の確保を目的としている。
狭あい道路とは、幅員4メートル未満の道路で、建築基準法上「2項道路」として位置づけられている道路である。これらの道路沿いでは、建替えや新築の際にセットバックが求められるが、実際の整備が進まないケースも多い。
山梨市では、これを計画的に推進するため、市独自の支援制度と国の補助制度を組み合わせた整備スキームを構築している。
市は「構造物撤去助成金交付要綱」に基づき、拡幅整備の際に支障となる既存構造物(塀・門扉・擁壁など)の撤去費用の一部を助成。
これにより、地権者負担を軽減し、事業への協力を得やすくしている。
事業費には社会資本整備総合交付金(国庫補助金)を活用。国の支援を受けながら、市単独では困難な小規模道路整備を継続的に実施している。
住民説明会や個別相談を通じ、丁寧に合意形成を進めている。狭あい道路は私有地にまたがることが多いため、住民の信頼関係と行政の誠実な対応が整備推進の鍵となっている。
道路拡幅にあわせ、排水施設や側溝整備、消火栓・防犯灯設置なども同時に実施。
「安全で快適な生活環境づくり」と「災害に強いまちづくり」を一体的に進めている。
緊急車両の進入が可能となり、火災・災害時の安全性が向上。歩行者や高齢者の通行環境が改善され、地域の生活利便性が向上。建物の建替えや景観整備と相まって、地域の再生・防災力の強化につながっている。
山梨市の狭あい道路整備事業は、「行政支援と住民協力のバランスがとれた現実的な整備モデルといえる。
補助制度を活用しつつ、地権者負担を抑える制度設計は、他自治体にとっても有効な参考事例である。
また、単なる道路拡幅にとどまらず、安心・安全なまちづくり全体の一環として位置づけている点が特徴的であり、行政の一貫した姿勢が感じられた。
狭あい道路の整備は、住民の合意形成に時間を要するが、助成制度などのインセンティブを設けること。国の交付金を活用して計画的に推進すること。防災・安全・景観の観点を一体的に捉えることが、事業を前進させる上での重要な要素である。
山梨市の取組は、小規模な地域でも持続可能なまちづくりを実現する好例として高く評価できる。
無電柱化された国道361号線(伊那市高遠町)
山梨市での視察の様子 山梨市の議場
以上、ご報告いたします。
令和7年12月16日